寒々
2003年9月24日 『僕等』
僕はあなたをおもふたびに
一ばんぢかに永遠を感じる
僕があり、あなたがある
自分はこれに尽きてゐる
僕のいのちと あなたのいのちとが
よれ合ひ もつれ合ひ とけ合ひ
混沌としたはじめにかへる
すべての差別見は僕等の間に価値を失ふ
僕等にとつては凡てが絶対だ
そこには世にいふ男女の戦がない
信仰と敬虔と恋愛と自由とがある
そして大変な力と権威とがある
人間の一端と他端との融合だ
僕は丁度自然を信じてゐる
そして世間といふものを蹂躙してゐる
頑固な俗情に打ち勝つてゐる
二人ははるかに其処をのり超えてゐる
僕は自分の痛さがあなたの痛さである事を感じる
僕は自分のこころよさがあなたのこころよさである事を感じる
自分を恃むやうにあなたをたのむ
自分が伸びてゆくのはあなたが育つてゆく事だとおもつてゐる
僕はいくら早足に歩いてもあなたを置き去りにする事はないと信じ 安心してゐる
僕が活力にみちてる様に
あなたは若若しさにかがやいてゐる
あなたは火だ
あなたは僕に古くなればなるほど新しさを感じさせる
僕にとつてあなたは新奇の無尽蔵だ
凡ての枝葉を取り去つた現実のかたまりだ
あなたのせつぷんは僕にうるほひを与へ
あなたの抱擁は僕に極甚の滋味を与へる
あなたの冷たい手足
あなたの重たく まろいからだ
あなたの燐光のやうな皮膚
その四肢胴体をつらぬく生きものの力
此等はみな僕の最良のいのちの糧となるものだ
あなたは僕をたのみ
あなたは僕に生きる
それがすべてあなた自身を生かす事だ
僕等はいのちを惜しむ
僕等は休む事をしない
僕等は高く どこまでも高く僕等を押し上げてゆかないではゐられない
伸びないでは
大きくなりきらないでは
深くなり通さないでは
ーー何といふ光だ 何といふ喜だ
高村 光太郎
僕はあなたをおもふたびに
一ばんぢかに永遠を感じる
僕があり、あなたがある
自分はこれに尽きてゐる
僕のいのちと あなたのいのちとが
よれ合ひ もつれ合ひ とけ合ひ
混沌としたはじめにかへる
すべての差別見は僕等の間に価値を失ふ
僕等にとつては凡てが絶対だ
そこには世にいふ男女の戦がない
信仰と敬虔と恋愛と自由とがある
そして大変な力と権威とがある
人間の一端と他端との融合だ
僕は丁度自然を信じてゐる
そして世間といふものを蹂躙してゐる
頑固な俗情に打ち勝つてゐる
二人ははるかに其処をのり超えてゐる
僕は自分の痛さがあなたの痛さである事を感じる
僕は自分のこころよさがあなたのこころよさである事を感じる
自分を恃むやうにあなたをたのむ
自分が伸びてゆくのはあなたが育つてゆく事だとおもつてゐる
僕はいくら早足に歩いてもあなたを置き去りにする事はないと信じ 安心してゐる
僕が活力にみちてる様に
あなたは若若しさにかがやいてゐる
あなたは火だ
あなたは僕に古くなればなるほど新しさを感じさせる
僕にとつてあなたは新奇の無尽蔵だ
凡ての枝葉を取り去つた現実のかたまりだ
あなたのせつぷんは僕にうるほひを与へ
あなたの抱擁は僕に極甚の滋味を与へる
あなたの冷たい手足
あなたの重たく まろいからだ
あなたの燐光のやうな皮膚
その四肢胴体をつらぬく生きものの力
此等はみな僕の最良のいのちの糧となるものだ
あなたは僕をたのみ
あなたは僕に生きる
それがすべてあなた自身を生かす事だ
僕等はいのちを惜しむ
僕等は休む事をしない
僕等は高く どこまでも高く僕等を押し上げてゆかないではゐられない
伸びないでは
大きくなりきらないでは
深くなり通さないでは
ーー何といふ光だ 何といふ喜だ
高村 光太郎
ぶらんこ、ゆれて
2003年6月15日ココロ静めよう
ゆれるぶらんこに乗っかりそうになるの
ゆ〜らゆ〜ら、ゆ〜らゆ〜ら
ゆられたい!ってココロがおねだりをする
だって、気持ちいいにきまってるもの
物足りなさを感じてもがいたり
だけど、そうしたのは私だもの
ゆらゆら揺れるぶらんこは眺めるだけにいたしましょう
ゆれたい私のココロは泣くけれど
ゆれるぶらんこに乗っかりそうになるの
ゆ〜らゆ〜ら、ゆ〜らゆ〜ら
ゆられたい!ってココロがおねだりをする
だって、気持ちいいにきまってるもの
物足りなさを感じてもがいたり
だけど、そうしたのは私だもの
ゆらゆら揺れるぶらんこは眺めるだけにいたしましょう
ゆれたい私のココロは泣くけれど
想いは限りなく
2003年5月10日 「或る夜のこころ」
七月の夜の月は
見よ、ポプラアの林に熱を病めり
かすかに漂ふシクラメンの香りは
言葉なき君が唇にすすり泣けり
森も、道も、草も、遠き街も
いはれなきかなしみにもだえて
ほのかに白き溜息を吐けり
ならびゆくわかき二人は
手を取りて黒き土を踏めり
みえざる魔神はあまき酒を傾け
地にとどろく終列車のひびきは人の運命をあざわらふに似たり
魂はしのびやかに痙攣をおこし
印度更紗の帯はやや汗ばみて
拝火教徒の忍黙をつづけむとす
こころよ、こころよ
わがこころよ、めざめよ
君がこころよ、めざめよ
こはなに事を意味するならむ
断ちがたく、苦しく、のがれまほしく
又あまく、去りがたく、堪へがたく…
こころよ、こころよ
病の床を起き出でよ
そのアツシシユの仮睡をふりすてよ
されど眼に見ゆるもの今はみな狂ほしきなり
七月の夜の月も
見よ、ポプラアの林に熱を病めり
やみがたき病よ
わがこころは温室の草の上
うつくしき毒虫の為にさいなまる
こころよ、こころよ
……あはれ何を呼びたまふや
今は無言の領する夜半なるものを……
『智恵子抄』 高村光太郎
七月の夜の月は
見よ、ポプラアの林に熱を病めり
かすかに漂ふシクラメンの香りは
言葉なき君が唇にすすり泣けり
森も、道も、草も、遠き街も
いはれなきかなしみにもだえて
ほのかに白き溜息を吐けり
ならびゆくわかき二人は
手を取りて黒き土を踏めり
みえざる魔神はあまき酒を傾け
地にとどろく終列車のひびきは人の運命をあざわらふに似たり
魂はしのびやかに痙攣をおこし
印度更紗の帯はやや汗ばみて
拝火教徒の忍黙をつづけむとす
こころよ、こころよ
わがこころよ、めざめよ
君がこころよ、めざめよ
こはなに事を意味するならむ
断ちがたく、苦しく、のがれまほしく
又あまく、去りがたく、堪へがたく…
こころよ、こころよ
病の床を起き出でよ
そのアツシシユの仮睡をふりすてよ
されど眼に見ゆるもの今はみな狂ほしきなり
七月の夜の月も
見よ、ポプラアの林に熱を病めり
やみがたき病よ
わがこころは温室の草の上
うつくしき毒虫の為にさいなまる
こころよ、こころよ
……あはれ何を呼びたまふや
今は無言の領する夜半なるものを……
『智恵子抄』 高村光太郎
始まります、春とともに…
2003年4月1日4月です
別れの季節が過ぎ、いよいよ出逢いのときが始まります
ウキウキ気分で過ごしましょう
明日は長女の高校制服の購入日
今までセーラーだったのがブレザーになります
少しは大人っぽく見えるでしょうか
楽しみです!
***********************
よしっ!っとガッツポーズで
気分も新たに
花曇りに気持ちもふわふわ漂いながら
別れの季節が過ぎ、いよいよ出逢いのときが始まります
ウキウキ気分で過ごしましょう
明日は長女の高校制服の購入日
今までセーラーだったのがブレザーになります
少しは大人っぽく見えるでしょうか
楽しみです!
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よしっ!っとガッツポーズで
気分も新たに
花曇りに気持ちもふわふわ漂いながら